解説
ささら語り:よこやま光子
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説経「さんしょう太夫」
九州筑紫に流された岩城判官正氏(いわきのはんがんまさうじ)。妻の御台所は、姉の姫・安寿(あんじゅ)と弟のつし王丸を連れて,乳母・うわたきを供にして、旅に出る。
越後の国、直井の浦で、人買いの山岡太夫(やまおかのたゆう)にだまされ、別
々に売られてしまう。姉弟は、丹後の国由良の湊のさんしょう太夫に買い取られ、汐汲み、柴刈りをさせられる。安寿はつし王を逃がすが、責め殺されてしまう。逃げのびたつし王は、お聖(ひじり)に助けられる。つし王は、梅津の院に見出され、丹後の国司となって、さんしょう太夫を処罰する。
そののち母を探して、佐渡が島へ渡り、栗畑で「安寿恋しや つし王恋しや」と唄う声を聞く。泣きつぶれた母の目も、守り本尊の地蔵菩薩の霊験で開く。姉御の菩提のために、丹後の国に御堂を建て、守り本尊を祀り・・・今の世に至るまで“金焼(かなやき)地蔵”として崇められている。
●説経
とは
中世の末から近世にかけて興った芸能《語り物》のひとつ。現在人々に信仰される神仏が、かつてこの世で人間であった時の苦しみをいかにして乗り越えたか、ということを物語り、神仏になった由縁を説く。これを《神仏の御本地
(ごほんじ) 》を説くと言っている。
●ささら語りとは
説経は江戸時代後期には三味線を伴う《説経節》となるが、よこやま光子は、いにしえの絵巻にあるようにササラをすって語れないものかと、暗
中模索なが ら試行錯誤
を重ね、ササラを供とし《ささら
語り》と名 づけて語っ
ている。
琵琶語り;寺本拳嶺
◎
梁塵秘抄(りょうじんひしょう)より七つの歌
梁塵秘抄は後白河法皇によって編纂された今様歌謡集です。「梁塵秘抄」十巻と「梁塵秘抄口伝集」十巻からなっています。両方の巻一の抄出と梁塵秘抄巻二及び口伝集巻十だけが現存しています。現存本には今様をはじめ法文歌や神歌などが五六〇余首納められています。その中から人口に膾炙(かいしゃ)した七つの歌を選び、琵琶の音にのせて弾き語ります。
◎城山(しろやま)
勝海舟が英雄西郷隆盛の死を悼み作詞した薩摩琵琶の名曲。
数々の偉業を成しながら、明治政府と対立して故郷鹿児島に戻っていた西郷は、士族の反乱である西南戦争の指導者にまつりあげられてしまうのでした。
明治十年の秋,惨敗した薩摩軍は故郷の城山に立て籠りました。紅葉のように紅に染まって散ってゆく薩摩の若者たちの、いさましい戦いぶりに西郷は満足のほほえみを残して自刃します。かつては陸軍大将として天皇の寵愛をうけ、人々から尊敬されていた西郷の最期のありさまに、攻め手の官軍さえも皆涙を流すのでした。
■プレイガイド
砺波市出町子供歌舞伎曳山会館、奏拳の会、
マイルストーンアートワークス
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