
枯野〜植物文様ソングブック2025
日時:2025年3月17日(金) 開演19:00(開場18:30)
会場:トーキョーコンサーツ・ラボ 新宿区西早稲田2丁目3−18 AVACOビル 1階
チケット:¥3,500(前売り¥3,000)
「植物文様ソングブック2025〜枯野(からの)」に寄せて 藤枝守
2023年に福岡市にて開催された《玉垂(たまたれ)》。現代神楽と冠したこの公演では、潮の干満をあらわす干珠(かんじゅ)と満珠(まんじゅ)という二つの珠(玉)をめぐる神功皇后と安曇磯良とのストーリーが下敷きになっていました。そのストーリーに沿って、万葉集や古事記から和歌や歌謡が選ばれ、「連作歌曲」として歌づけされて、野々下由香里さんの声や石川高さんの笙、丸田美紀さん、中川佳代子さんの箏、ボヴェ太郎さんの舞によって神楽仕立ての舞台が進行していったのです。
今回の「植物文様ソングブック2025〜枯野」では、《玉垂》で歌われた連作歌曲を中心に、創作神楽《冬至にうたう阿知女作法》(2018)やモノオペラ《八雲の向日葵》(2021)などの舞台作品に挿入された歌曲によって構成されています。このような一連の歌曲を通じて、神功皇后伝説の舞台となった博多湾・志賀島や小泉八雲の短編『向日葵』のなかで暗示される海の力、さらには「月読(つきよみ)」や「海界(うなさか)」といったさまざまなイメージが乱反射していきます。そして、演目の最後に歌われる《枯野》は、古事記の「仁徳記」によるもの。「大樹から舟が作られ、そして、舟を燃やして塩が、さらに残りの木片から琴が作られ、その琴がさやさやと海藻が揺れるように響く」という一連のストーリーが描かれていきますが、その歌づけにあたっては、志賀島周辺の海域で採取した海藻の電位変化のデータをもとにしました。
野々下由香里さんによる「ソングブック」、丸田美紀さんと中川佳代子さんによる「箏歌」、石川高さんによる「祝詞」など、さまざまな声に彩られた「植物文様ソングブック2025」。みなさまのご来場をお待ちしています。
チケット予約:
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■野々下由香里(ソプラノ)
東京藝術大学声楽科首席卒業、同大学院修了。第4回日仏声楽コンクール第1位入賞後、パリ・エコール・ノルマル音楽院に留学。’89年《フィガロの結婚》(ケルビーノ役)でレンヌ歌劇場にデビュー。帰国後は中世から現代まで幅広いレパートリーで活動。鈴木雅明氏率いるBCJのソプラノソリストとして25点を超えるCD録音(仏、独、英のディスク賞受賞)と世界各地でのバッハ音楽祭に参加。またバロックオペラの分野でも多くの聴衆を魅了。その他CDにはフォーレ《小ミサ》(ジャン・フルネ指揮)、「月の光」(レコード芸術誌特選盤)、「愛する歌」(毎日新聞特薦盤)などがある。フランス音楽コンクール(関西)審査員。東京藝術大学古楽科教授。お茶の水女子大学講師。
■石川 高(笙・古代歌謡)
1990年より笙の演奏活動をはじめ、国内、世界中の音楽祭に出演してきた。雅楽団体「伶楽舎(れいがくしゃ)」に所属。笙の独奏者としても、即興演奏など様々な領域で活動を展開する。和光大学、学習院大学、沖縄県立芸術大学にて講義を行い、朝日カルチャーセンター新宿教室で「古代歌謡講座」を担当している。2021年3月には、イタリアのトポロを拠点に開催された24時間ストリーミングフェスティバル ToBeContinued に、2022年8月には、イタリアの世界遺産都市マテーラで行われたファディエシス国際アコーディオンフェスティバル Fadiesis Accordion Festival に参加した。https://aurora-argentea.bandcamp.com/
■中川佳代子(和琴・箏)
高崎芸術短期大学卒業。NHK邦楽技能者育成会卒業。1989年CD「沢井忠夫合奏団の世界」文化庁芸術作品賞受賞。1994年青山音楽賞受賞。1998年文化庁芸術研修員認定。2002年賢順全国箏曲コンクール最高位「賢順賞」受賞。2013年京都市芸術文化協会新人賞受賞。近年、日本最古の弦楽器「和琴」奏者として、2015年現代神樂「甕の音なひ」(企画・作曲:藤枝守)、2016年ジャパンソサエティー主催「現代神樂」NY公演、2018年MFJ音楽祭(NY)に参加。「声」「ウタ」を伴う演奏をメインに現代音楽の初演、即興、平安・鎌倉期の古楽譜の再現演奏など多彩な場面で活動。
■丸田美紀(箏)
‘Natural’に、表現としての箏の音を追求し、その柔軟な感性と適応力で、活動も古典から現代曲の初演、録音、即興等と多岐にわたり、国内外でコラボレーションを展開。沢井忠夫、沢井一恵に師事。高崎短期大学音楽科器楽専攻(箏曲)卒業、さらに特待生として専攻科に学ぶ。NHK邦楽オーデション合格。米国ウエスレアン大学で客員演奏家(‘90〜’92)。平成6年度文化庁芸術研修員。2009年NY カーネギーホールにてテリー・ライリー、クロノス・カルテットと共演。ソロCD「鳥のように」をキングレコードよりリリース。五音階で演奏するポップス集など箏曲編曲楽譜も多数出版。沢井箏曲院教授、沢井忠夫合奏団団員。東京芸術大学邦楽科現代箏曲非常勤講師(2021〜)
■作曲:藤枝守
カリフォルニア大学サンディエゴ校音楽学部博士課程修了。博士号(Ph.D.)を取得。作曲を湯浅譲二やモートン・フェルドマンらに師事。植物の電位変化データに基づく《植物文様》シリーズを展開。著書に『[増補]響きの考古学』など。最新のCD《ガムラン曼荼羅》が「レコード芸術」誌の準特選盤。2023年3月にアクロス円形ホールにて現代神楽《玉垂》、同年5月にパラグナ・グループにより東京・自由学園明日館にて《両界ガムラン曼荼羅》の公演を予定。2020年まで九州大学大学院芸術研究院教授。現在、九州大学名誉教授。
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