■うるしについて■
[うるし]は漆科漆属植物から採取された天然塗料であることはすでにご承知だと思います。日本を含む東アジアだけの産物です。
[うるしの木]を苗木から10年間育てると一升瓶ほどの太さになりようやく成熟した[うるし]が採れます。葉の繁っている6月〜10月までの半年間、木の活動期によく樹液を分泌するからです。
[うるしの木]の幹に溝状のキズをつけその溝に浸出した樹液をすくい取ります。キズの深さは樹皮と形成層の境界、1本の溝から採れる[うるし]はコーヒースプーン1杯ほど、流れるほどでるものではありません。4〜5日間隔で採取するのが効率がよいとされ漆掻職人さんは1人400本を担当、4等分し1日100本を巡回作業します。5日目に最初のところに戻ります。落葉する10月末にはキズだらけとなりその役割を終え伐採され翌年その切株から孫生(ひこばえ)が出て10年経つと再び[うるし]が採れるまで成長します。
10年間育てた1本の木から採取できる[うるし]の量
はわずか約200ccです。とても貴重なものです。採取した樹液から水分とゴミを除去、精製して生漆(きうるし)と呼ぶ塗料になります。
■うるしの色■
日本で漆器の色は黒漆と朱漆がお馴染みですが、アジア全域ではさまざまな彩
漆が使われています。
漆は本来透明な飴色です。彩
漆は漆屋さんで売られていないので塗師各自が作ります。作り方は漆と鉱物性の微粉末の顔料を練り合わせます。
顔料は赤=酸化第二鉄、朱=硫化水銀、白=酸化チタニウム、紺・青=ベレス等々です。
気温・湿度に合わせ、デリケートな調合と調整です。気温が高いときは発色・明度が良好。湿度は85%くらいが適しています。漆塗りは高温・多湿が好環境なのです。
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